かつて大手映画会社である東宝が邦画黄金期を築き上げた時代から、特別なクレジット表記は作品に独特の緊張感を与えてきた。伝統的な時代劇や、昭和の重厚なサスペンスドラマにおいて、物語の黒幕や伝説の師匠役として大物が一瞬だけ顔を出す展開は、観客にとって最大のカタルシスだったのだ。
その伝統は現在も脈々と受け継がれている。世界的な評価を受けた映画『ゴジラ-1.0』のように、歴史的スケールで描かれる大作映画においても、劇中のキーパーソンとして重鎮キャストが配置されることで、作風のリアリティと重量感が格段に増す。映画業界全体を統括する日本映画製作者連盟のデータや傾向を見ても、実力派の存在感がいかに作品の興行収入や作品的評価を左右しているかが窺える。