数字は残酷なまでに現場の危機を物語る。厚生労働省が発表する労働災害統計において、林業の死傷年千人率は全産業平均の約10倍という突出した数値を記録し続けている。建設業や製造業が徹底した安全対策で事故率を抑え込んできたのに対し、自然の傾斜地や不確定要素に満ちた樹木を相手にする山林では、一瞬の油断が生死を分ける。
労働安全衛生法に基づく防護服の着用義務化や安全教育の徹底が進められているものの、伐採した木が別の木に引っかかる「かかり木」の処理ミスや、急斜面での転落、油圧ショベルの横転など、物理的な衝撃が直接人体を襲うリスクはゼロにならない。ベテラン作業員ですら「山に入るときは、無事に帰れる保証などどこにもない」と漏らす。この生命の危機と隣り合わせの環境こそが、安易な参入を強く戒める最大の理由である。