そもそも本作の原点は、昭和の日本映画黄金期を象徴する作品群にある。かつて東宝が送り出したオリジナル版では、伝説的な女優である入江たか子と杉村春子の二人が圧巻の演技合戦を繰り広げた。二人が醸し出す圧倒的な存在感と迫真の演技は、当時の映画ファンを魅了し、日本映画における最高峰の到達点と称えられた。
運命に翻弄される女性たちの葛藤、そして感情の機微を捉えた演出は今なお色あせることがない。今回のプロジェクトにあたり、制作陣が最も苦心したのは「この巨星二人が打ち立てた金字塔を、令和の時代にいかに再解釈するか」という難問だった。