現代人がこれほどまでに過激な恐怖を求める背景には、皮肉にも「過剰に保護された日常」への反発があるという。社会学者らは、不確実性が高くストレスに満ちた現実世界において、あえて映画館という安全が保障された空間で極限の恐怖を疑似体験することにより、脳が一時的なカタルシス(精神の浄化)を得ていると分析する。
しかし、その境界線は曖昧だ。安全なはずの映画館から帰宅した後も、劇中のイメージが頭から離れず、日常生活に支障をきたすケースが報告されている。恐怖を消費するつもりが、逆に恐怖に消費されてしまう。この主客転倒こそが、現代の観客が陥る罠なのだ。