『ドラゴンボール』史上、最も視聴者の感情を震わせた戦闘シーンとして語り継がれるこの場面。なぜ悟空の怒りはこれほどまでに凄まじかったのか。その背景には、少年時代からの長い歳月を通じて育まれた二人の特別な絆が存在する。かつて亀仙人のもとで泥まみれになりながら修業を積んだライバルであり、かけがえのない親友。地球での大魔王戦に続き、ナメック星で二度目の死を迎えたクリリンは、ドラゴンボールのルール上「二度と蘇ることができない」はずだった。
集英社の発行する誌面で展開されたこの絶望的な状況設定こそが、悟空の精神を極限まで追い詰めた。無口な怒りを静かに燃やし、容赦ない攻撃をフリーザへと叩き込む姿は、それまでの朗らかな主人公像とは一線を画していた。「これはクリリンの分!」という怒号とともに放たれた攻撃には、親友を失った悲しみと、理不尽な悪に対する容赦なき裁きが完璧な形で凝縮されていたのだ。