浅草編で登場したあの家族の正体は、実の血縁関係ではない。鬼舞辻無惨が「月彦(つきひこ)」という架空の人間になりすますため、裕福な資産家世帯を乗っ取った結果である。妻である麗(れい)とその娘は、本物の月彦が別に存在していたか、あるいは無惨が元の夫を惨殺して入れ替わったと推測されている。
つまり、あの少女は無惨の本当の娘ではなく、かつて存在した人間の夫との間に生まれた子どもだ。無惨自身には生殖能力や人間的な愛着など一切なく、純粋な偽装工作として彼女たちを利用していたに過ぎない。この血縁関係のなさこそが、のちに判明する無惨の徹底した冷酷さと異常性を際立たせる見事な裏設定となっている。