「バナナ!」「タパカ!」――意味をなさないはずの怪しい言葉足らずの台詞が、なぜか観客の胸を打つ。彼らが発する擬音や各国語をブレンドした造語は、声優陣の絶妙なニュアンス表現によって完璧な感情移入を可能にしている。言葉の意味ではなく、音のトーンと表情だけで感情を伝える手法は、まさに映像雄弁術の極致だ。
さらに物語の核にあるのは、怪盗グルーとミニオンたちの間に流れる絶対的な信頼関係である。どれほど破天荒な騒動を引き起こそうとも、最終的にはお互いを思いやる温かい家族愛へと帰結する。この無条件の愛と絆のドラマがあるからこそ、観客は彼らの暴走を笑顔で許し、最後に温かい涙を流すことができるのだ。