サッカーのワールドカップやオリンピック中継で、サポーターが声を揃えて叫ぶのは決まって「ニッポン!」コールです。「にほん(Nihon)」ではなく「にっぽん(Nippon)」が選ばれるのには、音声学および心理学的な明確な根拠があります。
「にっぽん」に含まれる促音(っ)と半濁音(ぽ=/po/)は、音響学的に「無声破裂音」に分類されます。唇を一度しっかり閉じてから息を一気に破裂させるため、大スタジアムの喧騒の中でも音が減衰しにくく、遠くまで明瞭に届く特性を持っています。
さらに「タ・タ・タン」という3拍子の軽快なリズムに乗せやすく、集団で声を合わせた際の一体感と力強さが圧倒的です。一方の「にほん」は摩擦音(/ho/)を含み、柔らかく穏やかな響きを持つため、熱狂的なチャントや鼓舞の叫びには「にっぽん」が本能的に選ばれているのです。