1990年代半ば、華やかなモータースポーツの現場や男性誌の表紙を彩っていた彼女は、決して「作られた像」を演じるだけの存在ではなかった。モデルとして現場に立ちながらも、その鋭い観察眼は常に人間模様と社会の歪みを捉えていたという。華やかさの裏にある孤独や打算、生々しい人間の欲望。それらを全身で浴び続けた経験こそが、のちにベストセラー作家へと駆け上がるための決定的な栄養素となった。
レースクイーンやモデルとしての活動を経て、1997年に小説『プライベート・ハイ』で小説家デビューを果たした衝撃は今なお語り草だ。自らの肉体や体験を切り売りするのではなく、表現の道具として昇華させる手腕。業界の誰もが彼女の「転身」に驚愕したが、本人にとってはごく自然な自他へのアプローチだったのだろう。