漁船員には陸上の労働基準法ではなく「船員法」が適用されます。長らく閉鎖的な男社会、過酷な長時間労働の代名詞とされてきましたが、船員の高齢化と深刻な人手不足を受けて、業界全体の労働環境は劇的なアップデートを遂げています。
最大の変化は低軌道衛星通信(Starlinkなど)を活用した船上Wi-Fi環境の整備です。かつては洋上に出ると家族や友人と数ヶ月間音信不通になるのが当たり前でしたが、現在は大洋のど真ん中からでもスマートフォンでLINEの送受信やSNSの閲覧、家族とのビデオ通話が可能になりました。プライベート空間を確保するための完全個室化や、最新の空調・シャワー設備の導入を進める船主も急増しています。
ただし、どれほど船内が快適になろうとも、大自然の脅威や海難事故・怪我といった危険性の実態がゼロになるわけではありません。激しい時化(しけ)による船酔い、重い漁具による挟まれ事故、氷点下60度の冷凍庫作業における凍傷リスクなど、常に命の危険と隣り合わせである覚悟は必須です。