横縞の白・青・赤には、また別のドラマチックな背景が存在する。17世紀末、ロシア帝国の最高権力者であったピョートル1世は、西欧化を推し進める中でオランダの造船技術と海軍旗に着目した。彼はオランダ国旗の3色を取り入れつつ、順番を白・青・赤に組み替えて自国の海軍旗とし、これがのちにロシアの国旗へと発展した。
19世紀に入ると、このロシアの配色がスラヴ系民族の連帯を示す「汎スラヴ色」として定着する。セルビア、スロバキア、スロベニアといった東欧の国々が、自国の伝統や独立への願いを込めて白・青・赤を採用していった。旗章学や国際関係論の視点から分析しても、この3色の広がりは政治的・民族的ネットワークの拡大と見事に一致している。