もともとドーキンスが提唱した「ミーム(meme)」は、ギリシャ語の「mimeme(模倣されたもの)」と「gene(遺伝子)」を組み合わせた造語だった。遺伝子が身体の特徴を親から子へ受け継ぐように、言語、宗教、ファッション、メロディといった文化もまた、人から人への「模倣」を通じて自己複製し、生き残りをかけて進化していく——という仮説である。
この難解な学術用語がネット掲示板や初期のSNSに持ち込まれた際、ユーザーたちはそこに直感的な合致を見出した。画像にテキストを乗せたシンプルな掲示板ネタや、誰もが真似して投稿するダンス動画。これらこそ、デジタル空間で自律的に増殖する「現代のミーム」そのものだったのだ。