政治家の言い間違い自体は、過去の国会でも決して珍しいことではありませんでした。しかし、麻生氏の「みぞうゆう」発言が社会現象レベルの大騒動に発展した背景には、当時の政治情勢とメディア環境が複雑に絡み合っていました。
第一に、「漫画好き」として知られた麻生氏のパブリックイメージとのギャップです。麻生氏は外相時代から毎週数十冊の漫画雑誌に目を通すサブカルチャー通として若者人気を獲得していました。しかし、誤読を機にメディアは「活字を読まず漫画ばかり読んでいるから漢字が読めないのではないか」という格好のネガティブキャンペーンを展開したのです。
第二に、テレビの情報番組やワイドショーによる「連日の漢字テスト報道」です。一部の番組では、街頭で通行人に麻生氏が誤読した漢字の読みテストを実施したり、小学校の漢字ドリルと対比させたりする過熱報道が続きました。日経平均株価の暴落や雇用情勢の悪化に苦しむ国民の間で、一国のリーダーに対する失望感と嘲笑が急速に拡散していきました。