この表現が世に生まれた元ネタ・語源は、今から250年以上前の18世紀イギリスに遡ります。イギリスの作家・牧師であるローレンス・スターン(Laurence Sterne)が1768年に発表した紀行小説『感情旅行(原題:A Sentimental Journey Through France and Italy)』が直接の発祥です。
当時の紀行文といえば、訪れた土地の歴史的建造物、地理、政治体制などを客観的・学術的に記録するのが主流でした。しかしスターンはそうした事実の列挙を徹底的に排し、旅の途中で出会った人々との些細な心の触れ合いや、自身の内面に生じる微細な感情の起伏を克明に描写したのです。
理性至上主義が重んじられた時代において、「個人の感受性(センチメント)」に光を当てたこの作品はヨーロッパ中で爆発的な支持を集めました。これ以降、「センチメンタルジャーニー=客観的な記録ではなく、個人の心情を巡る内省的な旅」という概念が世界共通の文化言語として定着していきました。