日本で「ホットケーキ」という言葉が定着した陰には、国内大手の食品メーカーによる画期的な商品開発が存在した。大正時代、森永製菓株式会社の創業者である森永太一郎は、西洋の食文化を日本に普及させるべく情熱を注いでいた。同社が昭和初期に発売した「ハットケーキの素」が、現在のホットケーキの直接的なルーツとされる。
当時、冷たい洋菓子が主流だった中で「温かいまま食べるケーキ」として打ち出されたこのコンセプトは、日本人の食卓に新風を吹き込んだ。戦後の高度経済成長期を経て、日清製粉ウェルナをはじめとする大手製粉各社も家庭用ミックス粉の展開を本格化。手軽に焼ける甘い焼き菓子は「ホットケーキ」という親しみやすい名称とともに、日本の家庭へ一気に浸透していったのだ。