日本の缶コーヒー文化を打ち立てたUCC上島珈琲をはじめとする国内パイオニア企業の動きも見逃せない。缶コーヒーやインスタントといった簡便性商品の市場を切り拓いてきた日本企業は、いまや世界基準のスペシャリティコーヒー市場においても確固たる存在感を示している。かつて鄭永慶が可否茶館で描いた「文化としての喫茶」の理想は、最新の抽出技術と職人技の融合によって世界へと逆輸入されているのだ。
全日本コーヒー協会のデータが示す通り、国内の年間消費量は成熟期を迎えているものの、1杯あたりの付加価値は過去最高水準に達している。大量消費の時代は終わりを告げ、真に価値ある一杯を愛でる「本物志向」が市場を牽引している。海外の大手チェーンやスターバックスなどの世界的ブランドも、日本市場の繊細な味覚嗜好に応えるべく、日本限定のローカライズされた特別なロースティングラインを相次いで拡充させている。