あの夏の主役は、間違いなく背番号1を背負った吉田輝星(現・千葉ロッテマリーンズ)だった。地方大会から甲子園の準決勝まで、たった1人で投げ抜いた150キロ超の直球とキレのあるスライダー。相手打者が分かっていても打てない伸びやかなストレートは、甲子園のマウンドで圧倒的な存在感を放っていた。
球数制限や投手複数制が当たり前となった現在の高校野球シーンから振り返れば、彼の投球スタイルはまさに昭和・平成の劇的な美学の集大成だったのかもしれない。ギアを上げた瞬間の迫力、ピンチでの咆哮、そしてマウンドで見せた侍ポーズ。ひとつのボールに込められた気迫が、球場全体を味方につけていった。