両作品を決定的に分けたのは、科学的考証に対するスタンスの違いだ。『ディープ・インパクト』は天文物理学者らの協力を仰ぎ、巨大彗星の衝突が地球に与える脅威を極めて緻密に描写した。彗星の表面構造、核爆発による軌道修正の物理的限界、津波の到達予測など、実際の天体衝突シナリオに即した描写が貫かれている。NASAの科学者からも「現実に起こり得る危機を正確に捉えている」と高く評価された。
一方の『アルマゲドン』は、科学的整合性よりも圧倒的な娯楽性を最優先した。小惑星の内部に核爆弾を埋め込んで破壊するというアイデアについて、NASAのトレーニングプログラムでは「物理的に不可能な場面が何十箇所もある」教材として使われるほどだ。しかし、無重力空間での派手なカーチェイスやドリル掘削機の破天荒なアクションこそが、観客を熱狂させた最大の要素となった。