2010年から2011年にかけてテレビ朝日系列で放送された『仮面ライダーオーズ/OOO』。東映株式会社が手掛けた本作は、人間の「欲望」をテーマにした重厚なストーリー展開で空前のブームを巻き起こした。その物語の骨格を作り上げたのが、メインライターの小林靖子である。
人間の欲望から生まれた怪人グリードたちの攻防を描く中で、圧倒的な存在感を放っていたのが、唯一の女性幹部メズールだった。水棲系の力を司り、他のグリードたちに対して母親のような慈愛を見せる一方で、目的のためには容赦のない冷徹さを見せる多面的な役どころ。この難役の人間態を演じたのが、当時「未来穂香」として活動していた矢作穂香だ。
驚くべきは、当時の彼女がわずか14歳の中学生だったという事実だ。特撮テレビドラマの歴史を振り返っても、これほど若い女優が敵幹部の人間態という重要かつ艶やかなポジションを射止めた例は極めて珍しい。大人顔負けの表情管理と声の響きは、視聴者に「本当に中学生なのか」という感嘆と衝撃を与えた。