2012年に開店した居酒屋UZUは、無農薬の国産食材や昭恵氏自らが手がけた「昭恵米」を提供するこだわりの店として、オープン直後から連日大盛況を記録した。首相夫人自らが接客に立ち、カウンター越しに来客と膝を突き合わせて語り合うスタイルは、従来の政治家ファミリー像を覆す画期的な光景として語り継がれている。しかし、長年経営を続けてきたこの店を閉じる決断を下した背後には、深い思索と時代の移り変わりがあった。
「都市部で消費される場所を作るのではなく、生産現場の熱量を直接人々に届ける拠点を作りたい」。関係者によれば、彼女の中で芽生えたその想いが、店舗経営という形態からの撤退を後押ししたという。神田の店を閉じた決断は決して後ろ向きな撤退ではなく、地方と都市を結ぶ新たなプロジェクトへの助助走に過ぎなかったのだ。