オハイオ州のありふれた住宅街において、なぜ10年以上もの間、誰一人として異変に気づかなかったのか。その背景には、アリエル・カストロによる徹底的な隠蔽工作と異常な警戒網がありました。
カストロは自宅の窓を内側から板やテープ、カーテンで完全に塞ぎ、外光を遮断するとともに外部からの視線をシャットアウトしていました。建物の至る所に南京錠やチェーンを取り付け、複数の施錠されたドアを通過しなければ監禁部屋にたどり着けない構造を作り上げていたのです。被害者たちは2階の小部屋に鎖で繋がれ、外出はおろか窓の外を見ることすら禁じられていました。
さらに、カストロは家庭用防犯カメラを設置して周囲の動きを監視し、音楽やテレビの音を大音量で流すことで室内の物音をかき消していました。近隣住民に対しては裏庭でのバーベキューに招くなど友好的に接し、娘を連れてファストフード店に現れるなど「面倒見の良い父親」を演出していたことも、周囲の疑いの目を逸らす要因となりました。