鳴海唯が『なつぞら』の出演を射止めた背景には、ドラマさながらの劇的なオーディション秘話が存在します。彼女が本格的に芝居の道を志したのは大学2年生の冬。女優になる夢を諦めきれず、通っていた大学を中退して上京し、俳優養成所「Pro Actors Labo」に入所したのがキャリアの第一歩でした。
芝居を学び始めてわずか半年あまりのタイミングで開催されたのが、朝ドラ『なつぞら』の出演者オーディションでした。当初はヒロイン役の選考などにも参加していましたが、制作陣の目に留まったのは彼女が放つ唯一無二の素朴さと透明感でした。数百人規模の若手女優がしのぎを削る中、演出陣は「まだ何色にも染まっていない純度の高さ」と「北海道・十勝の大自然に自然と馴染む佇まい」を高く評価。演技経験がほぼ皆無であったにもかかわらず、物語後半の柴田家を支える重要なポジションである柴田明美(成長後)役への抜擢を決定しました。
当時のインタビューにおいて鳴海唯自身も「受かったと聞いたときは信じられず、頭が真っ白になった」と振り返っています。覚悟を決めて退路を断ち、芝居の世界に飛び込んだ彼女の情熱と飾らない人間性が、制作陣の心を動かした決定的な要因でした。