多くの人が混同しやすいのが、第19条の思想の自由と、第21条が定める「表現の自由」の違いだ。両者の境目は、精神活動が「心の中にとどまっているか」、それとも「外部に向けて発表されたか」にある。
憲法学の重鎮であった芦部信喜の学説によれば、内心の領域にある思想は絶対的に自由である一方、ひとたび言葉や行動として外部に表出されれば、他者の権利や社会秩序と衝突するため「公共の福祉」による制約を受ける。SNS上での発言やデモ活動が名誉毀損や業務妨害として法的に問われるのは、それが第21条の「表現」のフェーズへと移行しているからにほかならない。