ファンや視聴者の間で二宮和也と櫻井翔のペアは、互いのイニシャル(NとS)から「磁石コンビ」の愛称で親しまれています。引き合う力と反発する絶妙なバランス、そして長年培われた絶対的な信頼関係を象徴するこの呼び名ですが、そのパブリックイメージを決定づけたのが本作『山田太郎ものがたり』での本格共演でした。
制作関係者の証言や当時の特番インタビューによると、真夏の炎天下で行われた過酷な撮影スケジュールの中、現場の空気を常に明るくリードしていたのがこの2人でした。台本に書かれたセリフをそのまま演じるだけでなく、アドリブを交えたテンポの良い掛け合いが随所に採用されています。特に、太郎が食べ物の話に目を輝かせた瞬間に御村がすかさずツッコミを入れるシーンや、無言で見つめ合って状況を察し合うシークエンスは、嵐として日常を共にしてきた2人だからこそ成立した阿吽の呼吸でした。
現場では、二宮が演じる天真爛漫な太郎の突発的なリアクションに対し、櫻井が一切吹き出すことなく御村としてのクールなポーカーフェイスを保ち続けるという、ハイレベルな演技合戦が繰り広げられていました。櫻井自身も当時の取材で「ニノ(二宮)が太郎でいてくれるから、自分は安心して御村のトーンを維持できる」と語っており、互いの演技プランへの深いリスペクトが現場のクリエイティビティを高めていたことが窺えます。