野々村氏の現在を追う中で、改めて浮き彫りになるのは報道のあり方だ。
事件当時、彼の実家や周辺には連日大勢の報道陣が詰めかけた。過熱した取材合戦、いわゆる「メディアスクラム」によって、近隣住民の生活が脅かされる事態も多発した。人物追跡ドキュメンタリーや週刊誌の取材班が彼を追い続ける一方で、「一人の人間をここまで追いつめる権利がメディアにあるのか」という倫理的な批判も根強く残る。
罪を償い、執行猶予期間も終えた元公人に対する取材の限界点。それは、プライバシーの保護と報道の自由がせめぎ合う、メディア業界全体が抱える永遠の課題と言える。