最先端のバイオメカニクス研究は、鳥の飛翔筋が発揮する驚異的な出力を数値として解き明かしている。人工の小型ドローンや内燃機関と比較しても、単位重量あたりのエネルギー変換効率は圧倒的だ。
鳥類の胸筋細胞はミトコンドリアの密度が異常なほど高く、酸素を極めて迅速にエネルギーへ変換する能力を持つ。持続的な羽ばたきを行う渡り鳥では、疲労に強い赤筋(遅筋)が発達し、瞬間的な加速や急速な旋回を必要とするタカやタカ目では白筋(速筋)の比率が高まる。運動特性に応じた柔軟な筋繊維のモザイク構造が、無駄のない飛行を実現しているのだ。