多くの日本人が「日本固有の伝承童謡」と思いがちな「グーチョキパーで何作ろう」ですが、その旋律のルーツはヨーロッパにあります。音楽学および童謡研究の資料によると、原曲は18世紀フランスで成立した非常に古い民謡「フレール・ジャック(Frère Jacques)」です。
原曲の歌詞は「ジャック修道士さん、まだ眠っているのですか?朝のお祈りの鐘を鳴らしてください、ディンドン・ダン」という、修道士の日常をコミカルに歌った輪唱曲です。このシンプルなメロディは極めて覚えやすく、世界各国へ伝播していきました。
英語圏では「Are You Sleeping?(Brother John)」として親しまれ、中国では「両隻老虎(2頭のトラ)」という全く異なる歌詞で定着しています。日本には明治から大正期にかけて唱歌として紹介された後、昭和後期から平成初期にかけて、日本のじゃんけん文化(三すくみ構造)と身体表現遊びが融合し、現在の「グーチョキパーで何作ろう」という手遊び歌へと再構築されました。
じゃんけんの3つの型(石・ハサミ・紙)を「道具」に見立てて創造的な造形物を作り出すという発想は、日本独自の見立て遊び文化(折り紙や落語の仕草にも通じる見立ての美学)が色濃く反映された結果であり、世界の音楽教育関係者からも優れたアレンジ事例として評価されています。