日本の夏といえば、古くから親しまれてきた怪談やホラーコンテンツの存在を外すことはできない。寒色系の静かなグラフィックとは対照的に、恐怖によるアドレナリンの分泌を利用して一気に体感温度を下げる手法だ。
怪談界の巨匠・稲川淳二が語る恐ろしいエピソードや、怪奇漫画の第一人者である伊藤潤二が描く圧倒的な怪異の描写は、見る者の神経を極限まで研ぎ澄ます。また、映画『リング』に代表されるJホラーの視覚表現は、画面越しにジワジワと迫る緊張感で冷や汗をかかせる独自の文化を築き上げた。
恐怖を感じると、生物としての防御本能が働き、体表の毛細血管がギュッと引き締まる。これが「血の気が引く」状態であり、一瞬にして皮膚表面の温度を低下させる生理現象だ。ゾクッとする怪談ビジュアルは、最も歴史が古く確実な納涼技術と言ってもいい。