深谷市内の渋沢栄一関連スポットを調べる際、最も混同されやすいのが「渋沢栄一記念館」と「旧渋沢邸 中の家(なかんち)」の違いです。ネット上の旅行記やSNS投稿でも両者が混同されて紹介されているケースが散見されます。
旧渋沢邸 中の家は、栄一の生誕地に建てられた渋沢家の本邸であり、現存する主屋は1895年(明治28年)に栄一の妹夫妻によって再建された埼玉県指定の旧跡です。こちらにも近年、若き日の栄一(パリ万国博覧会へ旅立つ頃)を再現した別仕様のアンドロイドが設置され、美しい日本庭園や養蚕農家の構造を間近に見学できるスポットとなっています。
また、栄一の従兄であり富岡製糸場の初代場長を務めた尾高惇忠生家(江戸時代後期の建築で、当時の油屋や藍玉製造の面影を残す)や、東京の世田谷から移築された国指定重要文化財の誠之堂、東京都指定有形文化財の清風亭(大寄公民館敷地内)など、それぞれ異なる歴史的価値を持つ施設が近隣に分散しています。
「記念館だけを見て深谷を去る」のは極めてもったいなく、これらの拠点を連続したストーリーとして捉えることで、幕末から明治・大正・昭和へと続く日本近代化の歩みが立体的に理解できるようになります。