事件直後、捜査当局や世間を最も驚愕させたのは、母親の初期の供述と態度でした。息子が重大なテロ事件を起こした直後、母親が口にしたのは「旧統一教会に大変な迷惑をかけて申し訳ない」という教団への謝罪の言葉でした。
自身の過剰な献金が原因で子供が凶行に及んだにもかかわらず、母親の意識は教団の教理に強く束縛されていました。この発言はSNSやメディアで激しい批判を浴び、「毒親の極み」「救いようのない洗脳」と叩かれました。
しかし、時間の経過と捜査機関による取り調べ、親族との対話を通じて、母親の心境にも変化の兆しが現れました。後に行われた事情聴取では「息子が大変な事件を起こし、被害者や社会に対して申し訳ないことをした」という謝罪コメントを残しています。それでもなお、信仰そのものを完全に否定するには至っておらず、長年刷り込まれた教義と現実の間で激しい葛藤を抱え続けています。
一般に知られていない盲点とネットの誤解
インターネット上では「母親は単なる冷酷な人物」と短絡的に片付けられがちですが、実態はより根深い構造を持っています。母親自身もまた、家族の死という極限の脆弱性の中でカルトのターゲットにされ、資産を吸い尽くされた被害者としての側面を併せ持っている点です。この加害性と被害性の二重構造こそが、旧統一教会を巡る問題の最も恐ろしい本質です。