太古の昔、地球に衝突して恐竜の絶滅を引き起こした巨大天体。その衝撃波が穿った直径180キロメートルにおよぶチクシュルーブ・クレーターは、数百万年の時を経てユカタン半島の地質構造を決定づけた。
近年の地質学と考古学の分野横断的な解析により、クレーターの外縁部に沿って石灰岩の崩落が起きやすくなり、結果として円状に無数のセノーテ群が形成されたことが判明している。マヤの人々は知ってか知らずか、この隕石衝突の痕跡がもたらした豊かな地下水脈のリングに導かれるようにして都市を築いた。恐竜の終焉という地球規模の天変地異が、数億年後に花開いた人類の文明配置を決定づけていたという事実は、歴史の奇妙な巡り合わせを感じさせずにはいられない。