「病院を幾つ受診しても診断がつかない」という悩みの背景には、病気の概念自体が過渡期にあるものや、症例数が極めて少ない疾病が隠れていることが多い。現在、国が指定する公的な枠組みから、世界的に研究が進む新知見まで、押さえておくべき代表的な疾患カテゴリーが存在する。
発症メカニズムが完全には解明されていないものの、一定の診断基準が確立している代表例が指定難病や特発性疾患である。たとえば、原因不明の激しい疲労感が長期間続き、日常生活が著しく阻害される慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎/ME/CFS)はその典型だ。自律神経障害や思考力の低下(ブレインフォグ)、微熱などが複合的に現れるが、一般的な血液検査では異常値が出にくい特徴を持つ。
また、症例数が少なく専門医以外の診断が困難な希少疾患や、免疫系が自己の組織を攻撃する原因不明の自己免疫・炎症性疾患も数多く存在する。以下の表は、代表的な病気の分類と初期症状、および受診すべき専門診療科をまとめたものである。
【代表的な原因不明・難治性疾患の分類と特徴】
・慢性疲労症候群(ME/CFS):長引く微熱、強い倦怠感、睡眠障害、認知機能低下。受診先:総合診療科、神経内科、専門外来。
・特発性拡張型心筋症など特発性疾患:動悸、息切れ、原因不明の浮腫。受診先:循環器内科。
・線維筋痛症:全身の広範囲にわたる激しい痛み、こわばり、疲労感。受診先:リウマチ科、ペインクリニック。
・未診断の自己免疫疾患:不明熱、皮疹、関節痛、脱毛。受診先:膠原病内科、免疫内科。
専門医療機関を受診する際の判断基準として、以下の「3つのSOSサイン」が挙げられる。第一に、日常の社会生活に支障をきたす症状が1ヶ月以上持続・悪化している場合。第二に、複数の器官(皮膚、関節、神経など)に同時多発的な異変が生じている場合。そして第三に、一般的な内科的アプローチで症状の改善が見られない場合である。これらに該当する場合は、単一の診療科にとどまらず、大学病院などの総合診療科への紹介状を依頼することが早期解明の鍵となる。