しかし、平和な時間は長くは続かなかった。節子氏を襲った乳ガン、そして全身への転移。過酷な闘病生活が始まった。政界のキーパーソンを追いつめ、過酷な生放送の現場に立ち続ける一方で、田原総一朗は妻のベッドサイドへと駆けつける日々を送ることになる。
カメラの前では毅然とした態度を崩さず、政治家に鋭い矢を放つ。だが、一歩マイクを置けば、刻一刻と死が迫る最愛の妻の苦痛に胸を締め付けられていた。ジャーナリストとしての使命感と、一人の夫としての無力感。その挟間で苛まれる彼の葛藤は凄まじかった。病床の節子氏は、衰弱する体を押してなお、夫がカメラの前で怯むことを決して許さなかったという。