物語の中盤から加速度を増すのは、北見藩の御家騒動と一族に隠された恐るべき真相だ。一見すると無関係に見える過去の事件や、何気ない登場人物の言動。それらすべてが後半、怒涛の伏線回収によって一本の線へと繋がっていく。この精巧なパズル構造こそ、ミステリー作家としての真骨頂だ。
重興を苦しめる狂気の裏には、藩の権力闘争と血脈の呪縛、そして人間が持つエゴイズムが渦巻いていた。ラストにかけて明かされる驚愕の真実は、読者に強い戦慄と同時に、深い切なさを残す。伏線が網の目のように組み上げられ、最後に全ての謎が解き明かされる快感は、まさに極上のサスペンス体験といえる。