物語の核をなすのは、原因不明の難病「眠り病」をめぐる苛烈な救済劇だ。主人公の若き女性医師・識名愛衣は、患者たちの命を救うため、自らの精神を相手の「深層心理の夢」へとシンクロさせる特殊な儀式に挑む。
密室殺人の謎や診断のロジックが冴え渡る本格派の医療ミステリーでありながら、ユング心理学や沖縄の伝承を背景にしたファンタジーミステリーの要素が完璧に融合。単なる病気の治療にとどまらず、患者の心が隠した「呪い」や「記憶のトラウマ」を暴き出していく展開は息をのむ。患者が抱える深い闇と向き合う愛衣自身の壮絶な覚悟が、読者の胸を打つ。