夢見がちで依存傾向の強かった小松奈々にとって、巧との出会いは救いであり、同時に逃れられない檻でもあった。巧は彼女の弱さや幼さを冷ややかに見抜きながらも、決して突き放すことはしなかった。それどころか、彼女が求めていた「甘やかされた居場所」を圧倒的な財力と庇護欲で提供してみせた。
この二人の関係は、対等なパートナーシップとは程遠い。完璧な支配者と、それに身を委ねる被支配者という構造だ。しかし、一見歪んだ関係性に見えながらも、奈々は巧の冷酷さの中に潜む深い傷を察知し、彼もまた奈々の無償の無邪気さに救われていた。愛とエゴが複雑に絡み合ったこの心理的絆こそが、本作を単なる少女漫画の枠組みから脱却させ、重厚な人間ドラマへと昇華させた要因と言える。