有名店のコクと奥深さを再現するために欠かせないのが、タレのバランスと隠し味の存在だ。基本となる黄金比は、醤油、みりん、酒、そして砂糖の調和。だが、これだけでは大手チェーンが誇るあの独特の「奥行き」は生まれない。
プロが極秘とする隠し味、それこそが白ワインと生姜の搾り汁、そして微量の白だしである。株式会社吉野家をはじめとするプロの現場では、白ワインが肉のくさみを消しつつ、芳醇な酸味と甘みを与えることでタレに立体感をもたらしている。さらに、わずかな昆布出汁や白だしを加えることで、塩カドの立った醤油味覚が劇的にまろやかへと変化するのだ。
タレを合わせる際は、一度軽く一煮立ちさせてアルコール分を飛ばすのが鉄則。沸騰させすぎると風味が飛ぶため、中火でふつふつと泡が立ち始めた瞬間に弱火に落とす繊細さが求められる。