ヤンヨンヒ夫・荒井カオルの素顔|スープとイデオロギーに刻まれた絆

ヤンヨンヒ夫・荒井カオルの素顔|スープとイデオロギーに刻まれた絆

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監督の代表作『ディア・ピョンヤン』は、北朝鮮を熱狂的に支持する父と、その思想に抗いながらも父を愛さずにはいられない娘の葛藤を捉えた記録映画の巨篇だ。続く『かぞくのくに』では、帰国事業によって離ればなれになった兄と妹の切ない再会を描き、国内外で絶賛を浴びた。そして、その延長線上に生まれたのが最新のドキュメンタリー映画『スープとイデオロギー』である。

この作品において、荒井氏は単なる撮影対象ではなく、物語を新たな次元へと導くキーパーソンとして登場する。老いた母が作るニンニクたっぷりのサムゲタン(鶏スープ)を味わい、義母の記憶の奥底に眠る済州島四・三事件の傷痕に静かに耳を傾ける。日本語しか話せない荒井氏と、朝鮮語で感情を吐露する母。言葉の壁を超えて通い合う二人の姿は、長年ドキュメンタリー映画業界が追い求めてきた「異文化の対話」の極致と言える。

中村 さくら
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中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。