作中に登場する象徴的なアイテムの数々は、彼らの運命を静かに暗示した緻密な伏線となっている。サクマ式のドロップ缶は、最初は甘い幸せの象徴であり、やがて水を入れて味わう空腹の気休めとなり、最終的には節子の骨灰を収める容器へと変貌を遂げる。一缶の果汁キャンディーの変遷が、そのまま二人の没落の歴史を物語る。
また、暗闇を照らす蛍の短い寿命は、まさに幼い兄弟の儚い命そのものだ。「なんで蛍すぐ死んでしまうん?」という節子の無垢な問いかけは、物語全体の核心を突いている。冒頭で神戸の三ノ宮駅構内に倒れる清太の霊が、ドロップ缶を放り投げられた瞬間に現れる演出は、この映画全体が死した二人の魂によって永遠に繰り返される追憶の回廊であることを示している。