彼の思想を紐解く上で欠かせないのが、自伝的バイブルである書籍『生涯の空手』だ。そこには、栄光の陰に隠された葛藤、挫折、そして武道家として死ぬまで歩み続けるという揺るぎない覚悟が綴られている。勝利の歓喜よりも、敗北や自己の弱さと向き合った時間の尊さが幾重にも重なって描かれている。
武道・格闘技業界が急速にグローバル化し、商業的なイベントや短時間のエンターテインメントへと変化していく中で、本書が投げかける問いはかつてない重みを持つ。単なる競技者で終わるのか、それとも「生涯をかけた道」として武を全うするのか。時代が変わろうとも色あせない人間形成の道標として、今なお多くの読者の胸を打ち続けている。