「クソ物件オブザイヤー」を語る上で欠かせないのが、主催団体である全国宅地建物取引ツイッタラー協会(全宅ツイ)の存在です。
全宅ツイは、不動産の開発、売買、仲介、賃貸、鑑定、金融など、業界のあらゆるセクターで働くプレイヤーたちがX(旧Twitter)上で結成したバーチャル組織です。彼らが発信するユーモアは、時に毒舌でシニカルですが、業界構造を熟知したプロフェッショナルならではの圧倒的な解像度を誇ります。
ネット上の反応を見ていくと、初期の頃は一部の不動産マニアによるアンダーグラウンドな内輪ノリという側面が強かったものの、年を追うごとに一般ユーザーや経済メディアへ波及していきました。毎年11月中旬のノミネート開始時期には、トレンドワードの上位を独占することが恒例となっています。
こうした熱狂を受けて、宝島社などから『クソ物件オブザイヤー』の公式本や、実務ノウハウをまとめた関連書籍が多数出版されました。単なる炎上のまとめ本にとどまらず、「なぜその物件が生まれたのか」「どのような契約書を巻くべきだったのか」という実務的な解説が盛り込まれており、若手不動産従事者の隠れた教科書としても読まれています。