なぜここまで「閉店したのか、それとも移転しただけなのか」という情報が錯綜してしまったのでしょうか。取材を進めると、商業施設の再編とブランド側の出店戦略という2つの構造的な要因が見えてきます。
第一の要因は、名駅エリアの再開発と近鉄パッセのフロア構成見直しです。近鉄パッセはここ数年、ヤングレディスファッション特化型から、韓国コスメ、トレンドスイーツ、より幅広い世代を取り込むライフスタイル提案型へとフロア構成を大きく刷新してきました。その過程で3階フロアのテナント契約満了に伴う大規模な配置換えが行われ、サンキューマートが撤退したという経緯があります。
第二の要因は、サンキューマート自身の出店フォーマットの変化です。かつてのサンキューマートは駅ビル内のコンパクトな区画に多品種を詰め込むスタイルが主流でした。しかし近年は、キャラクターライセンス商品や自社開発コスメ、推し活グッズをゆったりと陳列できる「広小路型・大型SC型店舗」へと主軸を移しています。限られた駅ビル区画から、より滞留時間が長く在庫ストックを豊富に持てる大須の路面店や郊外モールへと拠点を集約したことが、消費者から見ると「急に姿を消した」「どこへ移転したのか分からない」という印象に繋がったのです。
さらに、ファンが期待した「名駅の地下街や他館へのスライド移転」の公式発表がなかったことも、ネットの検索窓にサンキューマート 移転先という言葉が残り続ける原因となっています。