キメセク(ケムセックス)が極めて危険視される最大の理由は、「薬物依存」と「性依存」という2つの強烈な依存対象が融合し、重複依存(クロスアディクション)を引き起こす点にあります。覚醒剤や危険ドラッグ、麻薬類などの精神刺激薬は、脳内のシナプス間隙に通常の数百倍から数千倍に及ぶドーパミンを放出させます。ここに性行為に伴う快感が重なることで、脳の報酬系神経回路が致命的な上書きを受けてしまいます。
結果として、通常の日常生活における刺激や、薬物を使わない自然な性行為では一切の快感や満足感を得られなくなる「無快感症(アンヘドニア)」へと急速に移行します。「薬物を使わなければ行為が成立しない」「行為をするためには薬物が絶対に必要」という不可分な条件付けが形成され、これが「キメセクをやめられない理由」の根本的な正体です。