身体の排泄に関わる医療処置は、極めてデリケートなプライバシーに属します。芸能人や著名人があえてリスクを取り、公の場でオストメイトであることをカミングアウトする背景には、主に3つの強い動機が存在します。
第1の理由は、「同じ病気やストーマ造設に直面した患者の絶望を和らげたい」という共感と支援の心理です。がんで人工肛門になると知らされた際、多くの患者は「人生が終わった」「人前に出られない」という強いショックを受けます。そうした絶望の中にある人々に対し、第一線で輝く有名人が「ストーマがあっても自分らしく生きられる」というロールモデルを示すことの心理的救済効果は絶大です。
第2の理由は、「社会的な偏見や誤解の是正」です。「臭いが漏れるのではないか」「外出や旅行ができないのではないか」という世間の思い込みを払拭し、適切な医療機器を用いれば日常生活に何ら支障がない事実を啓発する目的があります。
第3の理由は、自らの体験を表現者としての原動力に変える「昇華(サブリメーション)」です。病を得た事実から逃げるのではなく、作品や言葉として発信することで、自己のアイデンティティを再構築するプロセスでもあります。