碧南火力発電所を語る上で外せないのが、運営主体である株式会社JERAが進める「ゼロエミッション火力」プロジェクトです。石炭火力は発電時に大量の二酸化炭素(CO2)を排出するため、国際社会からの批判に晒されてきました。そこでJERAが打ち出した切り札が、燃焼時にCO2を一切排出しないアンモニアの混焼技術です。
2026年春、同発電所の4号機(出力100万kW)において、熱量比で20%のアンモニアを石炭と混ぜて燃やす大規模実証試験が世界で初めて実施されました。大手電力関係者の証言によると、「石炭火力の燃焼温度を維持しつつ、窒素酸化物(NOx)の発生を抑制しながら安定燃焼させる制御技術は極めて難度が高かったが、実機での検証により商用化への道筋が固まった」と評価されています。
現在、碧南では混焼比率をさらに50%以上へと引き上げる実証計画や、将来的な専焼(アンモニア100%燃焼)を見据えたバーナー開発が進展しています。脱炭素を急ぐあまり既存の発電インフラを性急に放棄するのではなく、既存設備を最大限に活用しながら段階的に排出を減らす「トランジション(移行期)戦略」の成否が、まさにこの碧南の地に懸かっています。