清水香織の歌手経歴において最大の転機となったのは、1986年7月21日リリースのデビューシングル『禁じられたヒロイン』です。作詞に売野雅勇、作曲に井上大輔という黄金コンビを迎えた同曲は、哀愁を帯びたマイナーコードのメロディとドラマティックなアレンジが特徴で、新人のデビュー曲としては異例の完成度を誇りました。
デビュー直後から音楽番組やラジオ、各種イベントへ精力的に出演。続く2ndシングル『青いクーペから』(1986年11月)では、少し大人びたシティポップ・テイストを取り入れ、同世代のアイドルとは異なるアーティスティックな方向性を提示します。
1987年には3rdシングル『Blue Letter』、4thシングル『不可思議Tokyo』を連続リリース。当時の所属レーベルや制作陣が彼女のボーカルクオリティを高く評価していたことが窺えるほど、提供される楽曲は洗練されたメロウな歌謡ポップスが揃っていました。短い活動期間ながら、彼女が残したシングルやアルバムは、80年代後半の日本のポップス史において非常に質の高い作品群として記録されています。