なぜソフトバンクは、一見ギャップがありすぎる大御所俳優を指名したのでしょうか。その背景には、CMプランナー陣の明確な計算と大胆な発想がありました。
企画が立ち上がった2007年当時、携帯電話市場は激しいシェア争いの真っ只中にありました。他社との差別化を図るため、制作陣が掲げたテーマは「予想外」です。「見た目はどこにでもいそうな白い犬だが、中身は昭和の頑固親父で、誰よりも家族に威厳を示している」という強烈なインパクトを生み出すため、最も重厚で説得力のある声を持つ俳優として北大路欣也に白羽の矢が立ちました。
オファーを受けた北大路欣也本人も、最初は「犬の声?」と驚いたものの、企画の斬新さとユーモアに面白さを見出し快諾。収録時には自らスタジオで犬の細かな仕草を観察し、息遣いや間の取り方を徹底的に計算して役に命を吹き込みました。