トニー・スタークの胸に輝く小型アークリアクターは、本来であればテロ組織に囚われた洞窟の中で開発された急造の延命装置でした。直撃を受けたミサイルの破片が血流に乗って心臓に到達するのを防ぐ電磁石であり、同時にマーク1アーマーを起動させるための超小型発電炉です。
この極限状態において、MCUにおけるアークリアクターの仕組みを成立させる唯一の核となったのが、スターク・インダストリーズ製ミサイルから抽出したわずか0.15グラムのパラジウムでした。パラジウムは毎秒約3ギガジュールという途方もないエネルギー変換効率を誇る触媒金属であり、当時の科学技術においてリアクターの小型化を可能にする唯一無二の動力源だったのです。
しかし、パワードスーツの飛行やリパルサーの乱用など、激しいエネルギー出力を繰り返すうちにパラジウムコアの劣化と崩壊が進行。高密度エネルギーの照射を受けたパラジウムは激しい毒素を放出し、胸郭に直接埋め込まれたソケットを通じてトニーの循環器系へと直接染み出していきました。命を繋ぎ止める心臓そのものが、彼を殺す時限爆弾へと変貌してしまったのです。