紫波町の面積の約8割を占める森林。この豊かな山林資源を、単なる景観ではなく「地域マネーの漏出を防ぐ防波堤」として再定義したのが、町内で加速するバイオマス事業だ。
これまで地方都市の課題は、電気や灯油、ガソリンといったエネルギー費用として、毎年莫大な資金が地域外の企業や海外へ流出していくことだった。紫波町はこの構造にメスを入れた。町内で発生する未利用間伐材をチップ化し、地域熱供給プラントの燃料として活用。オガール地区をはじめとするエリアの暖房や給湯を自前で賄っている。
「化石燃料の価格が高騰を続けたここ数年、地元の木材を使った熱供給の安定性が際立ちました」。現地でエネルギー事業に携わるエンジニアは胸を張る。燃料代として支払われた資金は、地元の林業従事者や運送業者に直接還元される。エネルギーの地産地消は、環境配慮というスローガンを超えた「地域経済の防衛策」として機能しているのだ。