70代後半を迎えてもなお、伸びやかな高音域を完璧にコントロールする技術は、声楽界においても研究対象となるほどだ。毎日の発声練習はもちろんのこと、体幹を鍛えるピラティスや独自の呼吸法を欠かさず実践しているという。声帯という生体楽器を最高の状態に保つための徹底した自己管理体制には脱帽するほかない。
単に過去の声を維持するのではなく、「現在の声質に最も合った響き」を日々探求し続ける姿勢こそが、衰えを感じさせない最大の要因だ。無理のないナチュラルな発声から放たれる高音は、クリアでありながら深みを増しており、聴く者の胸を強く打つ。